ルブラン 辛口コラム

チョコレート事情

チョコレート事情

○味覚のちがい

日本でのチョコレートについて考えてみますと、大きく二つに分かれると思います。
一つは、コンビニなどで売られている大手菓子メーカーが製造している物、
もう一つは、専門店で売られているトリュフ類に分けられると思います。
フランスに比べて、この専門店の事情にはずいぶん違いがあります。

フランス人にとってチョコレートは、大人から子供まで楽しめる高級な食べ物として、
プレゼントなどによく使われますが、日本でのチョコレートは子供の甘いおやつとして考えられがちです。
ミルクチョコレートの消費の多い日本に比べ、ヨーロッパではセミスイートやスイートチョコレートが
大人の人によく好まれる為、たくさんの製品が並べられています。
これは、チョコレート本来の味や特長が分かりやすいことと、コーヒーの苦味、
オレンジマーマレードの苦味、ビターアマンドの苦味などと同様に、
チョコレートの苦味は、欧米人の好む味覚によるところだと思います。

○トリュフ

専門店で売られている小さいチョコレートは、トリュフと呼ばれることが多いですが、
これは、きのこのトリュフからとったチョコレートの形の名前です。
四角や円、ハートなどはトリュフとは呼ばず、それぞれの名前があります。
フランスでは「ボンボンショコラ」、ドイツ系では「プラリネ」と呼ばれることが多いです。
トリュフの中身には、ガナッシュ(チョコレートと生クリームを混ぜたもの)を使う事が多く、
日本人好みの柔らかく滑らかな食感になります。
他の形には、オレンジ、レーズン、チェリ−などのドライフルーツや
アマンド、クルミなどのナッツやその加工品を使います。
その為に、トリュフに比べ他の形の物は、消費に1/2〜3/4位の違いがあります。
これは宣伝や味覚の違いと共に、作り手にも責任があると思います。

○生チョコレート 1

日本では、「何々の石だたみ」と言われる「生チョコレート」がブームになっています。
この小さいチョコレートは、スイスのあるところでスペシャリテ(パベ敷き石)として売られているものを、
日本のある会社が同様に売り出したところ(実際はずいぶん違います。)、
売れ行きがよいので、材料業者が広め始め、
色々なお店で売られる様になり、ブームが起きたのではないかと思われます。
なぜ、この「生チョコレート」がブームになったかを考えてみたいと思います。

日本人は、なぜか「新鮮」とか「生」という言葉に弱いような気がします。
何をもって「生」と言うのでしょうか? 
「生チョコレート」と「トリュフ」の違いを考えてみると、「生チョコレート」は、
ガナッシュ(チョコレートと生クリームを混ぜたもの)をカットして、
ココアをまぶし、そのまま商品にした物です。
これは、口あたりは滑らかですが、時間が経つにつれて水分の蒸発と共に結晶が大きくなり、
舌触りや香りが悪くなってきます。その為に冷凍保存する事が多いようです。
この事を「生」と考えているのでしょうか?

「トリュフ」は、ガナッシュをチョコレートで被覆した物です。
これは、水分や香りを中に閉じ込め、美味しい状態を保つ為に行ないます。
また、味や柔らかさなど、バラエティーに富んだチョコレートを作る事が出来ます。
しかし、硬いチョコレートで覆いますので、「生チョコレート」に比べ、
最初の口あたりは、滑らかではないですが、味や香りに富んでいると思われます。

このように「生」と言う概念の違いから、柔らかいチョコレートは、生のチョコレート、
硬いチョコレートは、普通のチョコレートと考えられてしまうとしたら、残念に思います。
チョコレートの本来の美味しさは、何も入らない硬いチョコレートの中にあると思います。 

○生チョコレート 2

今度は、作り手から考えてみたいと思います。
チョコレート製品を作る上で、硬いチョコレートで被覆する事は
温度調整の技術や時間などを伴いますが、
「生チョコレート」はそれがないので、効率的に仕事ができます。
また材料原価から考えると、チョコレートは材料の中で一番高価な物で、
生クリームに比べ1.5倍〜2倍くらいします。
柔らかい物を作ろうと思うとだんだん原価が下がってきます。

そのように、「生チョコレート」は、トリュフに比べ容易に、効率的に出来る為、
割安感があり、いろいろなお店で取り扱う様になりました。
また、口どけの良さなどから日本人に受け入れられていったのではないかと思われます。
しかし「チョコレート」と言う物を考えた時、「生チョコレート」は一部の製品でしかないので
、 トリュフやボンボンショコラなどの物を紹介しながら、
チョコレートの美味しさを広めて行く役目が菓子職人にはあると思います。
が、残念な事に技術的な問題などの為、日本では
満足して頂けない様な製品が見られるのが、現状です。
菓子職人として、お客様に満足して頂ける様、努めて行きたいと思っております。

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