ルブラン 辛口コラム

こだわり

何かの取材を受ける時、「こだわっている事は、有りますか」とよく聞かれます。
また、テレビや雑誌、食品の包装に「こだわり」と言う言葉がここ何年か、よく見られます。

「こだわり」って何でしょうか?

内容をよく見ると、なかなか手に入らない物、いわゆる希少価値のある物や、
高価な物、あまり人々が注目していない物、地元の生産品、季節の物などが多いようです。
しかし、中身やその物の味、また使われ方については、あまり知らされていません。
希少価値のあるものが、美味しいとは限りませんし、注目されない物や地元の生産品も同様です。
季節の物などは、日本人が昔から四季折々に取り入れてきた事です。

最近、品質表示の事が問題になっていますが、ある大手スーパーで、
食品の表示についての見直しがありました。
「限定品」、「〜産使用」、「採り立て」、「手作り風」「本場仕込」など数え上げたら切りがありません。
表示と内容がかけ離れている物や、お客様が商品を選ぶときにまぎわらしいような表示を見なおし、
商品を選びやすくしようと言う動きです。

しかし、違法表示が多くあるという事自体、間違っていると思わざるを得ません。
消費者の事を考えず、売り手側の考えだけで物を販売していると言う事です。
競争の時代に売上を上げるため、いろいろと工夫をし、
お客様のニーズに応えようとする結果なのでしょうか?

  消費者も情報や言葉、流行に流されてしまい、
美味しさを見分ける目や舌をだんだん失って来ている様な気がします。
スーパーなどに行くと商品にいろいろ書いてあります。
初めはその言葉につられて、買ってしまうかも知れません。
しかし、確かな目、舌を持っていれば、美味しければまた購入するし、
もし不味ければ、次からは購入しない様になると思います。

狂牛病の牛肉産地偽装、鶏肉、黒豚、魚沼産コシヒカリなどの事は、売り手側に問題がありますが、
消費者側も考えて行かなければ成りません。
日常の生活の中で容易ではないかもしれませんが、食べ物にもう少し興味を持ち、
安易に、あまりにも安価な物に飛付かず、自分の舌で味わい、
美味しさを見分ける事を養っていかなければなりません。
確かに消費者が見分ける事が難しい物もたくさんありますが、
その事により少しずつ、違法表示、過大表示が無くなっていくと思います。

ルブランの考え方として、やはり素材は、その物の「美味しさ」が大切です。
そして、その素材の美味しさを、お菓子の中でどの様に生かせるかが問題です。
いくら素材が良くても、その特長が生かされなければ、意味がありません。
たとえて見ますと、最近こだわりの塩として、フランスの塩が注目されています。
確かに美味しい塩ですが、それを使ってお菓子を作ったとして、「こだわっています」と 言えるでしょうか?
洋菓子では、塩はあまり使いません。
使ったとしても少量で、あくまでも隠し味で、表には、なかなか出てこない物です。
ルブランでは、軽食の「キッシュ」などに使っていますが、
良い塩を使うことは、直接塩味が表に出てくる料理やパンなどは大切ですが、
洋菓子では、あまり意味がない様に思います。

洋菓子店を含め、店先や雑誌の掲載に、いろいろと「こだわリ」が掲げられています。
「ええ?どうしてこんな物が?」
「ここにこだわっているなら、どうしてここにこだわりが無いの?」
「客寄せとして、こだわりが書いてあるだけだ」
などと感じる事が、まだまだたくさんあるように思います。
「こだわり」とは、なかなか難しいものです。

ルブランのお店について、「いろいろ、こだわっていますね」と言われる事があります。
しかし、特にこだわって来たわけではなく、
私自身が、ケーキが美味しい、きれいで素敵な店が好きであり、
私の好みの店作りを目指してきた結果、今のような店が出来あがったのだと思います。

「好みでない事はしない、好みにあった事をする」
しいて言えば、これが私のこだわりなのでしょう。

2002 04

Patisserie Francais "Leblanc" Senba-chou,Mito...Please click here for more information in English.